相続放棄の概要

1 相続放棄とは

相続放棄は、プラスの財産もマイナスの財産も受け継ぐことを拒否することです。また、相続放棄をすると、その人は、初めから相続人にならなかったものとみなされます。

2 相続放棄の手続き

①熟慮期間内(*1)に、家庭裁判所に相続放棄の申述を行う

②家庭裁判所から、申述人に対して書面照会手続が行われる

③家庭裁判所が申述を受理した旨の通知が届く

*1熟慮期間
熟慮期間とは、相続をするか・放棄するかを考える期間になります。そのため、相続放棄の申述を熟慮期間内に行う必要があります。
熟慮期間は原則3カ月(民法915条)ですが、家庭裁判所に対して熟慮期間の伸長を申し立てることができます。

3 相続放棄の効果

相続放棄をすると、その人は初めから相続人とならなかったものとみなされます。また、相続順位が同じ順位の相続人全員が相続放棄した場合には、次順位の相続人に相続が移ります。(*2)

次順位の相続人は、前順位の相続人が全員相続放棄し、自身が相続人になったことを知った日から熟慮期間がスタートします。

*2 順次相続放棄をしていく場合の例
被相続人には、子が2人、親が1人、兄弟姉妹が1人いるとします。

その場合に
①最初に相続人になるのは、子2人です。そのため、まずは子が相続放棄をするか考えることになります。
②子2人が、全員相続放棄をすると、親が相続人となります。ここから親が相続放棄をするか考え、手続を進めることが可能になります。
③親が相続放棄をすると、兄弟姉妹が相続人となり、相続放棄に関しては②と同様です。

他方で、上記①の子が相続人となっているときに、子1人は相続放棄をするが、もう1人は相続した場合には、相続した子が被相続人の遺産を全て承継することになります。

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