罰金の分割支払いは可能か

1 はじめに

犯罪を犯し、刑事裁判により有罪の判決が出された場合、拘禁刑(今までの懲役刑と禁固刑)や罰金に処されることになります。このときに、判決で言い渡された罰金は分割払いの対応はできるのでしょうか。

2 罰金と徴収事務

罰金は、犯罪を犯したことに対するペナルティであるため、一括で支払うものになります。そのため、検察庁のウェブサイトのQ &Aにおいても「罰金を分割で納付することはできますか?」との質問に対して、「罰金は、刑罰ですから、定められた期間内に一括で納付しなければなりません」と回答されています。

このように、罰金は一括で支払うものであり、分割はできないのが基本です。

しかし、上記で紹介した検察庁のウェブサイトのQ &Aの続きには、「定められた期間内に納付できないときは、納付の通知をしている検察庁の「徴収事務担当者」にお尋ねください」と記載されています。また、罰金等の徴収事務に関して定めている徴収事務規程を見ると、16条1項に「徴収金について納付義務者から納付すべき金額の一部につき納付の申出があった場合において、徴収主任は、事情を調査し、その事由があると認めるときは、一部納付願を徴して検察官の許可を受けるとともに、検察システムによりその旨を管理する。」と規定されています。このように、検察庁の事務処理としては分割(一部納付)への対応が想定されています。

そのため、仮に罰金を一括で支払うことが難しい状況である場合には、検察庁のウェブサイトに記載されているように徴収事務担当者に伝えることが重要です。

罰金を納付しない場合には、強制執行が行われます。また、強制執行すべき財産がない場合には、労役場留置に処されます。

参考リンク
検察庁ウェブサイト「Q &Aコーナー 裁判の執行等について」

法務省ウェブサイト「徴収事務規程」