在宅事件における刑事弁護の重要性

1 はじめに

刑事事件というと、「逮捕」や「勾留」といった身体拘束がイメージされがちですが、実際には、警察や検察の捜査を自宅で受ける「在宅事件」も数多く存在します。

在宅事件では、被疑者が通常の生活を送りながら捜査を受けるため、一見すると大きな問題がなさそうに思えるかもしれません。しかし、取調べ時に、不利な供述がそのまま証拠とされてしまうことなどがあります。その結果、起訴され、刑事裁判へと発展するおそれもあります。

だからこそ、在宅事件においても、早期に弁護士のサポートを受けることが極めて重要です。

2 在宅事件とは

在宅事件とは、警察・検察の捜査を受けているものの、被疑者が逮捕や勾留といった身体拘束を受けていない事件をいいます。取調べの呼出しに応じて出頭する必要がありますが、自宅での生活や仕事は通常どおり続けることができます。

しかし、在宅であることは、「逮捕されない」、「処分が軽い」ということを意味するわけではありません。捜査の進展や取調べの対応次第で、ある日突然逮捕されるということも十分にあり得ます。

3 在宅事件における弁護人の役割

在宅事件であっても、弁護士が関与することが重要です。在宅事件における弁護士によるサポートは以下のような内容があります。

■ 取調べへの対応支援

黙秘権や供述調書の扱いについて、あらかじめ正しい知識を知っていること、そして、対応についてアドバイスを得ていることが取調べ対応において大切になります。特に、不利益な供述を避けるためには、取調べ前の準備が極めて重要です。

■ 勾留回避のための法的対応

逮捕や勾留の可能性が生じた場合には、意見書や誓約書、身元引受書などを提出し、逮捕や勾留を回避するための対応を進めることができます。また、勾留請求がなされた場合には、準抗告などの不服申立てで釈放を求めることも行います。逮捕や勾留のいずれにしても、実際に逮捕状の執行や勾留請求がされた場合には、早期に対応を進める必要があります。このためには、在宅時から弁護士に依頼し、事案を把握した弁護士からサポートを受けることができる状況にしておくことが重要です。

4 弁護士に相談するべきタイミング

在宅事件でも、次のような場合にはすぐに弁護士に相談してください。

  • 警察から取調べの呼出しを受けた
  • 捜査機関から連絡があり、不安を感じている
  • 自首を検討している
  • 被害者と示談交渉を考えている
  • ご自身ではなくても、ご家族が在宅で捜査を受けていることを知ったとき

弁護士が早期に介入することで、後の手続に大きな影響を与えることもあります。

5 まとめ:在宅事件でも「弁護人による刑事弁護」が必要

在宅事件は、被疑者が自由に生活することができますが、手続きの重要性は身柄事件と変わりありません。また、起訴や有罪判決によるリスクが小さくなっているわけでもありません。むしろ、本人に適切な知識がないままに対応を誤ってしまうリスクがある分、身柄事件以上に注意が必要な場合もあります。

当事務所では、在宅事件においても、取調べ対応から勾留回避、最終的な不起訴処分獲得までサポートを行っております。刑事事件は、身柄事件だけでなく、在宅事件においてもアクセスしやすく、刑事弁護の経験がある弁護士に相談、依頼することが重要です。

ご相談はこちらから、お一人で悩まず、お早めにご連絡ください。

また、在宅事件において起訴(公判請求)された場合について、在宅事件の刑事事件に特化したプランを用意しておりますので、裁判所から連絡が届いた方であってもご相談ください。