昨今、誹謗中傷問題が取り上げられることが増えています。SNSなどのインターネット上で匿名での誹謗中傷をイメージすることも多いと思いますが、まだまだ。リアルでも問題になることは多くあります。
そこで、今回は、どのような発言や書き込みがアウトになるのかを解説していきます。
1 誹謗中傷とは
誹謗中傷とは、相手の悪口を言ったり、根拠のない嘘やでたらめを言って他人の名誉を傷つけることをいいます。そしてこれは、民事上では、不法行為となり、刑事上では侮辱罪や名誉毀損罪などの犯罪に該当することになります。
侮辱罪は、刑法231条に規定されており、「事実を摘示しなくても、公然と人を侮辱した者は、一年以下の拘禁刑若しくは三十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。」とされています。
名誉毀損罪は、刑法230条1項に規定されており、「公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の有無にかかわらず、三年以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金に処する。」とされています。
このように誹謗中傷は、民事だけでなく、刑事上の問題にも発展していきます。
2 どのような発言や書き込みが誹謗中傷となるのか
今回は、「侮辱罪の施行状況に関する刑事検討会」に掲載されている侮辱罪の事例集を参考にして、どのような発言や書き込みが誹謗中傷(侮辱罪に該当する行為)とされたのかを見ていき、具体的にどのような発言が問題となるのかを解説します。
①バカ・アホ
事例集には、173件の事例が掲載されていますが、「バカ」や「アホ」と言った事例の多さが目立ちます。日常生活やテレビなどのメディアでも聞くことがあるワードですが、10万円の罰金に処せられた事例もあります。
②ブス・デブ
ブスやデブといった容姿に対する悪口についても侮辱に該当すると判断されています。容姿に対する内容としては、「ハゲ」などもあります。
③能力不足などを意味する言葉
ポンコツやヤブなどの能力不足や能力が低いことを意味する言葉も侮辱に該当すると判断されています。また、工事現場で、「こいつ大工としていらないから、使えないから、鉄筋屋にくれてやる」などと怒鳴る事例のように仕事中の出来事もあります。
④犯罪者であるように思わせる言動
「おまえ、一人殺したんだよ」、「詐欺の実行役」、「ドロボー」など犯罪をしたと思わせる言動や犯罪者であるかのように言うことは侮辱に該当すると判断されています。
⑤性的な言葉
「ヤリマン」や「アバズレ」といった性的な悪口や不倫や浮気をしているなど性的関係を吹聴するような言動は侮辱に該当すると判断されています。
このように侮辱罪に該当する悪口は、「バカ」などのように日常で聞くことがある言葉になります。事例集では詳細な事案は記載されていないため、実際に「バカ」と発言した状況なども考慮されているものと考えられますが、加害者にならないためにも言動には気をつけることが大切です。
また、インターネット上での誹謗中傷も多くありますが、スーパーマーケットや駐車場などリアルにおいても多くの事例があることがわかります。
3 誹謗中傷をされた/した場合
上記のように、いわゆる悪口が侮辱に該当すると判断されており、略式手続や刑事裁判において、罰金や科料に処せられています。そのため、事例集に載っている事案については、全て犯罪であり、侮辱罪の前科がついたものになります。
このように誹謗中傷は刑事手続の対象となるものです。そのため、誹謗中傷を受けた場合には、この程度なら我慢しようなどと考えず、適切な対処をすることが大切です。
また、誹謗中傷をしてしまった場合も、軽く考えたために前科がついてしまうこともあります。
誹謗中傷の言葉だけでなく、その言葉が言われる前後のやり取りや状況などにより判断が変わってきます。また、証拠の確認など立証ができるかも重要な要素になります。このように弁護士でなければ判断が難しい点もありますので、誹謗中傷の被害者も加害者も、まずは弁護士に相談してください。
誹謗中傷の被害を受けた場合には、
- 告訴状の作成
- 告訴の代理人対応
- 示談交渉
- インターネット事案の場合には、削除請求や発信者情報開示請求
など
誹謗中傷をしてしまった場合には
- 刑事弁護
- 被害者との示談交渉
- 発信者情報開示請求における意見照会対応
など
の対応を進めていくことが可能です。
誹謗中傷問題にお悩みの方は、こちらからご相談ください。