
総務省が実施したアンケート調査によると、2024年(令和6年)にアクセスプロバイダに対して申し立てられた発信者情報開示請求(訴訟、仮処分、非訟、任意請求の総数)は約15万5000件であり、その約95.6%に相当する約14万8000件が、P2Pファイル共有ソフトを用いたアダルト動画の著作権侵害行為事案であるとのことです。
このようにBitTorrentをはじめとするP2P技術を用いたファイル共有ソフトによる著作権侵害事件が増えています。
そこで、今回は、身に覚えのないトレントの開示請求が届いた場合について、解説していきます。
トレント問題についてお悩みの方は、当事務所までご相談ください。
トレントの利用で発信者情報が開示されるのか
BitTorrentをはじめとするトレントでは、P2Pという技術が用いられています。P2Pでは、特定のサーバーを介さずに1台1台の端末同士が直接接続し、通信を行っていきます。そのため、各端末がサーバーであり、クライアントになる仕組みになります。
では、P2Pの技術自体が違法であると思う方もいるかと思いますが、P2Pの技術そのものは違法ではありません。
しかし、BitTorrentなどのトレント上には、違法にアップロードされたコンテンツも存在しています。その違法にアップロードされたコンテンツをBitTorrent上でダウンロードすると、それと同時に自身が所持しているファイルの一部を他のユーザーに提供(アップロード)する仕組みになっています。
そのため、BitTorrentの利用により、コンテンツの違法アップロードという悪質な著作権侵害行為を行なっていることになります。
トレントでの発信者情報開示請求では、このような著作権侵害行為が問題になっています。
身に覚えのないトレント利用に関する発信者情報開示が行われる理由
発信者情報開示請求では、インターネット回線のプロバイダに対して行われることになります。そのため、自宅や職場など複数でインターネット回線を利用する環境の場合には、契約者は利用していなくとも、インターネット回線を利用している他の人がトレントを利用し、著作権侵害を行なっていた場合などがあります。
そのため、身に覚えのないトレントの開示請求が届いた際には、他にインターネット回線を利用できる人がいないか、また、その人がトレントを利用している可能性がないかを確認していくことが必要です。
仮に誰もトレントを利用したことがない場合には、Wi-Fiの不正利用などの可能性もあります。この場合には、Wi-Fiの接続端末の確認や問題となる通信が全員の外出時であり利用することが不可能であったことなど、利用していないことを根拠づける資料の準備をしていくことが大切になっていきます。
そのほか、身に覚えがないと思っていたが、記憶が曖昧になっているケースもあります。そのため、過去にトレントを利用したことがある場合には、丁寧に自身の行動を振り返り、本当に身に覚えがないのかを確認していくことが大切です。
開示請求への対応
身に覚えがないからといって、開示請求に対応せず放置することはリスクがあります。
開示請求を放置した場合には、プロバイダの判断で開示される可能性があります。
そのため、開示請求が届いた場合には、内容を確認し、開示に同意するか拒否するかなど、意見を回答することが大切です。
回答にあたっては、それぞれのケースや具体的な状況に応じて内容を考えていくことが重要になります。この回答によって、今後の手続や示談交渉などが変わっていきます。
そのため、状況に応じた適切な対応を取るためにも弁護士への相談やサポートが大切です。
また、開示請求が届いたということは、権利者との示談交渉に進む可能性が高いともいえます。そのため、早期に弁護士に相談・依頼をすることで、示談対応の準備を早期に進めていくことができます。
これは、手続や精神的な負担を軽減していくことにもつながっていきます。
身に覚えのない開示請求こそ弁護士に早期の相談が重要
身に覚えのない開示請求が届いた際には、早期に弁護士に相談し、現在の状況を適切に把握していくことが大切です。
放置したり、無視したことによって不当な損害賠償請求を受けることや最悪の事態では刑事告訴をされることもあります。
早期に弁護士に相談することで、状況を踏まえた適切な対応を進めていくことができます。
トレントに関するお悩みについては、こちらからご相談ください。